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静かなるドン、感想

『静かなるドン』
全108巻、読んだ直後はものすごくショックだったんですが、幾晩か過ぎてちょっと落ち着いてきました。
しかし何ていうか、世の無常を知り私はとても悲しい…いや、ここまで長く続けてきてるのに初志貫徹した辺りは非常に良いエンディングだと思うんですが、こう…私はどこかで甘い夢を見ていたんです…雪村君と二人で欧州を旅する夢を…!(山南ブログだからいちおうね!)
とりあえず思いの丈を吐き出さないとやってられないぐらいのめり込んでしまったので、私の浮かばれない魂を供養する為に感想やら何やらを書いていきたいと思います。


そもそも、『静かなるドン』とはどういう漫画かといえば、これだけ有名なタイトルなのに私は読むまでいわゆる任侠ものであることぐらいしか知らなかったので、世間一般の知名度というかタイトル以外の内容がどれだけ知られているのかいまいちよく分かりません。
周りで読んでた人が全くいないけど、読者層は30代以降のサラリーマン…なのか…?
ともあれ読んでびっくりしたのはわりかしコメディ路線であることでしたね。こんなライトな漫画だったのか。
軽い。ほんわかハートフルヤクザ漫画。その割にバンバン主要キャラ死んでくけども。

なのでどこまで私の方で説明するべきなのか分かりませんが、とりあえず内容としては、昼はうだつの上がらないヒラ社員(下着デザイナー)として堅気の会社に勤めながらも、夜は関東最大の組の三代目親分として切った張ったの大立ち回りをする…という、日頃は昼行灯でも真の実力はすごいんだぜ的な、サラリーマン向けのなろう小説感。
でもキライじゃないぜ…人は誰しも自分に見えざる可能性を求めているものさ…。
そんな主人公近藤静也の二重生活が物語の基本構造なんですが、その主軸として1巻から通して最後まで据えられているのが、堅気の会社の同僚秋野明美さんへの一途な恋…というのがなんとも胸キュンです。
基本は任侠コメディ、そして時々ラブロマンス。ラブロマンスとか静ドン的昭和語彙。
でも発行年見るとほとんどは平成に連載してたっぽいですね。中身めっちゃ昭和感あるのに(笑)
その秋野さんとのあれこれがね、またね、男の夢感がすごい。最初はふつーの可愛い女子だった秋野さんがだんだん聖母というか菩薩というかもはや人ならざるものへと変わっていく。
この辺の流れは青年漫画の多くの恋愛もそうなんで、男性の女性観なんですかね。男は皆女に母親を求めておるんじゃ…。

まあでもこの漫画の静也くんの場合は、第三者視線では完全に聖母的な立ち位置の秋野さんを、本人の自意識としては最後までただの「憧れの人」として見ていくところが健全というか、とても好感が持てます。
静也は本当に男の中の男だぜ…っていうかこの名前がね、「しずや」って読むのがいいよね。かわいい。本当にかわいい。
顔も普通にかわいい。作中ではあんまり顔の良し悪しは言及されてないけど、おそらく乙女ゲームでは可愛い弟系で攻略キャラになれるんじゃなかろうか。お母さんも妹も美人だし。
そしていざ攻略しようと思ったら最大級純情メンヘラだったオチ。やりきれない…!
いやぁ、認めたくないけど静也くん普通にメンヘラだよね。精神が強すぎるメンヘラ。矛盾。
何かあるとやけばちになってすぐ死のうとする辺り、素質は十分にあります。
体鍛えてなかったら繊細な芸術系ボーイなんでは。あって良かった筋肉。筋肉は全てを救う!
しかし作中何度自暴自棄になって死にかけたのかな?って感じです。体感では5回ぐらいあるけどちゃんと数えたらもっとありそう。
青年漫画だから少女漫画みたいに自分に酔った大げさな悲劇!って感じの直接描写はされてないんですけど、作中でも何度も指摘されているように静也くんの内面は闇一色というか、自分のことを「不幸な境遇」だとして絶望している、人生の悲観者なんですよね。
自分の血の運命から目をそらす為に昼の仕事に没頭していくところは、この作品だからただのコメディなんですけど、もっとシリアスな作品だったら鬱すぎて見てられないんじゃないかと思います。
でもそれが最終盤でついにシリアスに現れてくるところに私は打ちのめされるという…うおおー何でこんな結末なんだあーーー(※羅刹の吸血衝動)

先程挙げた物語の主軸となる秋野さんの想い、割とごく初期で二人は想いを通わせる訳ですよ。
10巻辺りから既にいい感じに両思い。15巻でもうラブ…としか言いようのない愛が生まれちゃう。
最初は三代目の静也くんのことだけが好きだった秋野さんも26巻でこれ同僚の近藤くんじゃん!ってついに気付いてデザイナーの静也くんも気にするようになってくるのは本当にやきもきさせられる感じで良かった。
ていうか静也くんが秋野さんにバレていることに気付かなすぎ!周りには結構バレつつあるのに何で恋人にバレてないと思えるのか謎すぎます。
静也くんが秋野さんに正体がバレていることに気付くのがなんと87巻…!三代目…さすがにそりゃないですぜぇ……おんどれ何巻待たせるんじゃあって海腐組長もお怒りですよ。
っつーかいちおう体の関係もちょいちょいあるっぽいのに鈍いとかそんな次元じゃない。
60巻てどんな長い歳月だよ…実際の作中時間は曖昧にしてあるので分かりませんが、それでも少なくとも5年以上くらい分かってなかったんじゃ…?
でもいいの、そんな静也くんがかわいい…もうかわいいしか形容できない…。
体の関係といえば結局二人の明確に分かるベッドシーンは全108巻中3回しかなかったような。
描写も朝チュン。理江と五代目姐さんとのエロはあんなに描き込みあったのに何故。本命とのアレコレは見せないタイプ?
なので静也くんと秋野さんは会っても基本ご飯食べてるかいつもハグして終わり。ちゅーもあんまりしないプラトニックさ。かわいい。
最終的に性愛から精神愛へと移行するのも青年漫画のお決まりだけど、静也くんは最初から最後まであんまりエロに興味ない感じの草食系男子でしたね。
ドンなのに女遊びを全くしない。その代わり堅気の会社の上司たちがガンガン遊んでくれるのでその対比も面白いです。
というかこれはおそらく作者が年を重ねて家庭を持ったこととかにも関係してるのかな、とも少し思います。
静也くんと秋野さんの関係は傍目から見ればまさに熟年夫婦である。まだ何も始まってないのにアハハハ

………。
……いや…これがね、普通に笑えない訳ですよ。ようやっと本題に入る訳ですが、我々読者はね、というか私がね、多少なりともこの主軸たる秋野さんとの関係をハラハラしながら見守っておった訳ですよ(机ドン)
正直秋野さんの良さは全く分からんけども、静也がね、好きだというなら応援してやろうじゃないかっていう母親の妙さんみたいな気持ちでいた訳ですよ。
紆余曲折あったけど二人の強い絆を散々見せつけられて、私は何だかんだで二人で幸せな未来を築いてくれると…そう、うう…信じて……!
それが!二人が最後に選んだのは別離!伊豆温泉旅行でしっぽりした後、今生の別れ!マジかよ!!!
あまりに混乱して「え、その旅行ではちゃんと同じ部屋だった?いつもみたいに“じゃあオレはこれで失礼しますよおやすみなさい秋野さん”とかもう100回ぐらい見たやり取りしてないよね?!ていうかその間二人はやったの?!やらなかったの?!」などともはやどうでもいい下世話なことしか思いつかない。
このまま実は妊娠してて数年後に子供産んでたこと分かって結局一緒になるエンディングとか妄想してないと私の心がもたない。
ていうか今日から私はそのエンディングを脳内補完する。うん、二人はその後ハッピーエンド!(暗示)
……いやぁ、何度も二人は別れたりくっついたりしてるから今回も一緒といえば一緒なんですけどね…。
でも89巻で秋野さんの両親から手切れ金二千万見せられつつ土下座されて別れてくれとか言われて静也くんが自殺しに行く辺りから怪しい感じはしてたんですけどね…うん……。
ほら私最近乙女ゲームぐらいしかやってなくて薄桜鬼真改の切なさのカケラもないアホみたいに明るい未来を見慣れてたからまさかのこんな辛い結末を実際迎えると無理感すごくて…

勿論今回の別離はそれだけが原因じゃないというか、この話を続けるにはそもそもこの作品がどんな経緯を辿り、そしてどんなエンディングを迎えたかという話をきちんとしなくてはならないかと思いますので少し解説を。

この物語は、1巻から70巻まではおおよそ、近藤静也率いる関東最大の新鮮組と、それに敵対する関西最大の鬼州組との関係性が中心となっています。
お互いの末端組員を契機に大規模な抗争したり、跡目争いでもめたり、あるいは海外のマフィアに対抗する為に一時的に手を結んだり…と、いくつかのテーマには分かれるものの、基本は新鮮組vs鬼州組っていう分かりやすい感じでした。
正直70巻までは本当に面白い。面白い、のに!のに!
それが、70巻辺りで白藤龍馬とかいう「新世界の神になる」系キャラが登場したせいで、話が全世界の表社会と裏社会の構造について考える壮大すぎる展開になってしまうことから、静也くんたちの、というかこの物語そのものの悲劇が始まっている気がします。
この龍馬というキャラ、もう名前からして世の中を洗濯しちゃうお人になる訳なんですけども、この人がかつて15巻で秋野さんの身代わりに殺された鬼州組五代目姐の息子であるという出生が、静也くんと秋野さんの運命を大きく変えたことはもう間違いない。
恩義のある人の息子である龍馬という男を、鬼州組六代目海腐組長が跡目にしようと動いたことから、以後静也くんはまともな判断できなくなるんですよね。
反目してる組に所属してるから静也くんは手を出したくない。ついでに秋野さんからも戦わないでほしいと懇願されてもう何も出来ない。
出来ないから抗争仕掛けられても手出せなくて味方壊滅。ひどい。70巻から90巻あたりはずっとそんな感じで見てられない。敵からも味方からも、ついでに秋野さんからも責められて何も良いことない静也くん。可哀想。
そして90巻からは龍馬が世界の真の支配者と戦うぜよ!とか言い出してドバイでテロ起こして支配者一族たちを爆殺しちゃう。あっお薬出しておきますねー的な困惑の展開…この辺はものすごくコメントしづらい。
やりたいことは分かるんだけど、もはや壮大すぎてきっと週刊連載でこの漫画を読んでいたらわけわかめであっただろうことだけは察せられます。

まぁそんな中でも理解したことは、その真の支配者()にあたる、世界を牛耳る一族のトップがものすごくマフィアを憎んでいて、同士討ちをさせてどっちも滅ぼしてしまおうという計画を企てていることに静也くんは気付きます。
静也くんは完全なるペシミストなのでその意思に逆らわずにいようと思うのですが、どうしても龍馬と静也くんのことが心配な秋野さんがその一族のトップとコンタクトを取ってしまうんですね。
で、そのトップが静也くんを将来的にマフィアを撲滅させる虐殺モンスターとして開花させる計画を立てていることを知り、秋野さんは何とかそれに抗おうとする訳です。
秋野さんに限らずヒロインは何故に毎回余計なことして物語を引っかき回すのか…こういう展開、違う漫画で何度となく見たぞ…?!既視感がすごい。
で、最終的にシチリアマフィアが秋野さんを人質としたことから龍馬と静也くんが手を組んで秋野さんを奪還する作戦を開始、鬼州・新鮮組連合とシチリアマフィアが銀座で大抗争を起こします。
白昼堂々と大抗争。やばい。でも世界の一族が良しとしてる潰し合いなので日本の警察も止めに入らないという異常事態が生じます。
そんな大抗争の中、静也くんの一歩先を行っていた龍馬がいよいよ囚われの秋野さんを助けんと近付いた瞬間、空が白く輝いて大爆撃。ヤクザ漫画なのにいきなり空爆
空爆の原因は龍馬自身がかつて起こしたテロの報復なんですが、もはや何漫画なのか全く分かりません。
龍馬と最愛の秋野さんが消えたのを目の当たりにした静也くんが見事暗黒面に堕ちてバーサーカ化
かくして世界の一族のトップが期待した通りマフィアを文字通り虐殺し始める静也くんに周囲もドン引きするという最悪の展開になるのでした。これが106巻です。

で、9割9分9厘の読者の予想通り、結局秋野さんは爆撃に巻き込まれておらず無傷で生きていた訳なんですけども、ここから先がですね、本当に悲しくて、全然現実的な展開じゃないのに泣ける。静也くんの心中を思うともう無理すぎる。こちとら107巻まで綿々付き合ってきたコア読者なんじゃあー
両手の日本刀で100人斬りを始めるバーサーカ化した静也くんを、秋野さんは必死で止めに行くんですが、正気を失っている静也くんはそれが秋野さんだと分からず刀で斬りつけようとします。
ついでに秋野さんを庇った静也くんの養育係やら第一の子分やら親しい人間全員に斬りかかる静也くん。
そんな二本の日本刀で大殺戮が出来るの?などと突っ込んではいけない。問題はそこじゃない。そこじゃないんだ。
秋野さんの呼びかけでも目覚めない。もうダメだ誰も止められない、ってなった時、最終的に彼の目を覚まさせるのは、自分を何度となく裏切ってきた子分であり、自分が三代目になるきっかけを作った存在、という皮肉。
いや、生倉さん好きなんだけどね。でも生倉さんで正気取り戻すシーンはめっちゃシリアス展開なのに笑ってしまった。そういうのずるい。
ていうかここでね、秋野さんが彼の正気を取り戻せないっていうのがこの後の結末のきっかけなんですよね。
乙女ゲーなら完全なる選択肢ミス。悲恋エンドに爆走…!
あとはもうコントローラ操作も出来ずただ画面を見ていることしか出来ないのです…ぶわわ
ここの選択肢ミスがどこで起こるのかっていうと、はるか昔の68巻辺りっていうのも辛い。
そういやこの68巻、静也くんと秋野さんは偽装だけど結婚式挙げてたなぁ。っていうかそこまでやったならもう夫婦でいいよね…??
組では秋野さんは完全に姐さん扱いだし、静也くんママもウェルカムしてるよ?91巻でママ土下座返ししてたし秋野さんの両親もその恫喝で二人の仲を認めてたしもう結婚しよう??
恫喝だけど大丈夫大丈夫。土下座恫喝とか斬新すぎる(笑)
しかし静也ママ妙さんは本当に素敵である。さすが人気投票1位。静也くんの堅気の仕事の成功にも陰で喜んじゃう。素敵。
でも魔王として全国統一果たして欲しいと思ってるところも素敵。永遠に分かり合えない親子である。

でも肝心の我らが静也くん自体が、自分が秋野さんに斬りかかったことを知っていたくショックを受けて、秋野さんに別れを告げることを決意します。
そして自分の中に眠る狂気を改めて認識し、心の拠り所だった堅気の仕事も辞めることを決めます。
ここはほんとに悲しい。あんなにデザイナーの仕事大好きで頑張ってたのに悲しい。秋野さんとの別れよりも辛い。
84巻で一度辞表出した時の送別会で「部長と公園でコンビニ弁当食べるのが自分にはかけがえのない幸せな時間だった」とか語る静也くんの姿を思い出して落涙。
何度となく仕事辞める辞めるとは言ってたけど、今回ほど胸に迫る経緯もないというか、「こんなに血に汚れた手ではもうデザイナーの仕事は出来ない」って吐露するのがほんとに可哀想すぎる。山南さんみたいな鬱台詞吐くのやめてくれぇ。
まぁでも真面目な話、実際静也くんは逮捕されてないだけの大量殺人者な訳で、そこには全く義も何もない今回の出来事に、そういう決断を下したのはよくよく考えればしょうがないというか、むしろ何故まだシャバにいられるのかレベルなので生倉さんの言う通り世界の一族のトップにある意味では感謝しないといけないのかもしれない。
トップの言葉通り「これだけ殺せば死刑か英雄かどちらかしかない」静也くん。哀れ。
そんな静也くんの決意を聞いた秋野さん、いっそ罪の十字架を背負いながらも組を捨てて堅気になって一緒になろうと誘ってくれるんですが、同時に組の一万人の子分を見捨てられない彼がいることも分かっているので、あまり強くは止めず、静也くんの思いを汲んでそっと見送ります。
初めてサングラスを自らの意思で秋野さんの目の前で外すシーンがコレっていうのが残酷すぎる…間違ってもこんな悲しいシーンではあってはならない…ならないのに…ううう…(※二度目の発作)
元々組の人からはヤクザ一本に絞ってほしいと言われ続けていたので、今回の決断は元鞘に戻ると言えばそうなんだけど、多分今となっては組の誰もこんなこと望んでなかったのでは…と思わせられる悲劇。

静也くんにとって、大事なもの全部失うことになった今回の件。
すっかり世捨て人となった静也くんはよし死ぬぞ的なテンションになり、世界一の一族のトップに単身会いに行くことになります。
でも結局「人を恨んだり憎んだりしてはいけない」という秋野さんの呪いの言葉によりやっぱり何も出来ず、龍馬を爆撃した一族の一人のところへも、敢えて何も持たずに乗り込むというクレイジーなことをしだします。
普通にただの自殺です。さすが精神の強いメンヘラ。
静也、お前さんは89巻辺りで秋野さんの為に死なないって約束したじゃねぇか…!別れたからって後追いしないとは限らねぇんだぜ…?!と心の中のイケメン原田が叫ぶ。
そういや新鮮組、原田左之助模したキャラいない気がするな。山波さんはいたけど。初期にいたのかな…?後で確認しよう。
で、やっと死ねるかと思ったら殺されずにドバイテロの犯人として中東の拷問施設に送られるというとんでもない事態になる静也くん。踏んだり蹴ったりである。
そんな彼の窮状を知った秋野さんが、今度は自分も、仕事も今の地位も何もかもを捨てて、一文無しで静也くんの妻と名乗りながら助けに行くところはやっぱり月並みなんだけども感動してしまう…うう、秋野しゃん…!あんさんはほんま女親分ですぇー
ヤク漬けにされておぼろな意識になった中でも秋野さんに張り手食らわされて、一瞬堅気の静也くんになるところはもう涙なしでは見られない。
そしてそんな静也くんを見て「こっちの近藤くんで生きていくことに決めたんでしょ」とサングラスを渡す秋野さんにも泣ける。
いやもうおどれらさっさと結婚せぇや…わしには海腐組長の声が聞こえまっせ…海腐さんはこんなこと言わないだろうけどさ…。

で、件の伊豆旅行に戻る訳ですが。
堅気の仕事もないし秋野しゃんもいないしボクやっていけないよぉとこぼす静也くんに喝を入れる秋野さんはやはりまぎれもなく三代目姐である。
一度死んだんだから大丈夫、夢に向かって頑張ってね!とかシビアに慰めてくる秋野さん、別れた女感あって妙にリアル。
好き合ってても別れる、っていう恋愛を私はしたことがないのでいまいち感覚が分からないけども、お互いの為にも離れた方が良いという風に二人が思っているのなら仕方のないことなのかもしれない。そう思わないと私の心が壊れる(迫真)
最後の最後に「明美」呼びしたのはグッとくる。ていうかどんだけずっと「秋野さん」「近藤くん」の関係だったんだよって話なんですけども。
静也くんの中では、秋野さんはずっと憧れの片思いの人なんですよね。正体明かしてないこともあってどうしても両思いになってる実感がないというか、一歩引いてる付き合いをしてるんだけど、この最終話でやっとその関係から卒業出来るのが切ない。
そしてモノローグとして「いつか二人の修羅の道が許される時が来たらまたこうして抱き合えるのかもしれない」とかいう意味深な言葉が紡がれる訳なんですが、二人がまた一緒になれるのっていつなんだよー。今じゃないのかよー。
っていうか秋野さんは単独行動とかしても大丈夫なんかい?普通に世界一の一族に喧嘩売ってたし今後命狙われるんじゃないかとものすごい心配なんですけど。
偽名も「近藤明美」とかだし全く偽名の意味がない!笑 ふざけとんのか!もっと隠れる努力をしよう!そしてそこまで愛してるなら何で別れるんだよばかばか!ツッコミ始めたら止まらないぜ!

一方の静也くんは、かつて15巻で鬼州組五代目姐と今際の際に約束した「日本のヤクザを全て解体してほしい」という見果てぬ夢を実現する為に、鬼州組と五分の盃で和睦し、これから二度と戦わない静かなるドンとしてどう進んでいくべきか、たった独り暗い部屋で考えるのだった…。
うおおおーこんな結末…わしは…わしは…!(※三度目の羅刹の発作)
何が哀しいって他の組のメンバーは割と楽しく余生を謳歌してることなんですよね。ナンバー3同士もおじいちゃんで仲良しになったし、イケメン組の鳴戸と龍宝は完全にBLだし猪首さんはイケメンイタリア人ゲイといい感じだし、鬼州組八代目骨手牛さんも恋の予感がすごい。絶対にいらん恋だけど。
秋野さんも海外でデザイナー再出発してるし、ひとり静也くんだけが、今まで見て見ぬ振りをしていた奈落の深淵を暗い顔で見つめてる。もうやめてくれ。
光の中、別れの際に秋野さんから貰ったお守りだけが彼の希望っていうのがね…やっぱり本質的な問題は何も解決されていないというかこの状態で秋野さんがどうこうなったらやっぱり静也くんはバーサーカじゃないのとか思うんだけど、それでも秋野さんが側にいて危険な目に遭う率が高いよりかは彼にとって良いのかな…もう考えれば考えるほど分からなくなるのでこれ以上のエンディングの考察はやめておきます。

もうあれだ、私はさっき思いついた「伊豆旅行でウッカリできちゃった子供を秋野さんが海外で人知れず育てていて、数年後何かのきっかけでバレる」妄想を真のエンディングとして受け入れるより他に精神を保てる気がしない。
子供の名前は静明ちゃん!名前すら51巻の伏線として回収出来る!誰も不幸じゃない!最高!
静也くんは自分の呪われた血を継いでほしくないと何度か言ってたから最初は喜んでくれない。
でも甘ちゃんだから何だかんだで絆されてちょいちょいサングラス外して様子見とかして時々遊びに来るひょうきんなおじちゃんポジを獲得する有様が目に浮かぶぜ…。
父親だと名乗り出るのは組を解体する夢を叶えてから…そう思いながら何年も過ごしていくうちに子供の方も何となくこの時々会いに来る人が父親だと察していく。ついでに何かヤバい素性の人であることにも薄々気付く…でも直接尋ねることはしない…あれ、これ秋野さんとの関係の再来?素晴らしくない??これはもう二次創作するしかない?!
いや、仮にもし物語のラストが、秋野さんが三代目姐となってハッピーエンド!あるいは逆にヤクザ辞めて堅気になってハッピーエンド!だったら果たしてどう思ったかってのも考えるんですけど、それはそれでモヤモヤが残るのかなぁとも思います。
こういう風に考察の余地を残してある方が物語の締めとしてはもしかしたら良いのかもしれません。
何にしてもテーマがアウトローの犯罪者集団なので、世間の目としても主人公を完全なるハッピーな存在にしてはならなかったんだろうなぁとも。
なんたって静也くんママは前科36犯。作中2回逮捕されたから今は38犯!ハクがつくとかそんな次元じゃない!(笑)
こんな母親じゃ秋野さんも聖母になるしかないって秋野さん自身も思っちゃう訳だけど、全然家に母親が居なかった割には静也くんはお母さんのこと普通にお母さんとして接してるしまた受け入れてるよね。
屈折した気持ちはあるんだろうけど、お母さんが自分の部屋でゴロゴロしてても何も言わない。お前の部屋にはエロ本はないってことかい静也…?
サイコパス異母妹のことも家族として認めてるしどこまでいっても優しい静也くんが愛おしい。

惜しむらくは最後まで静也くんの過去話があんまり披露されなかったことですね。静也くんの学生生活とか超超超見てみたいんだけど。
友達とかいたのかな。素性の知られてない遠い高校とかに通って密かに青春謳歌してる静也くんが見たい。キャンパスライフも見たい。そしてたまにお迎えのごっついリムジン見られて慌てるといい。
静也くんの過去話といえば、人形遊びが好きでお人形のパンツ作ってたこと中学生の時に父親を階段から突き落としてお父さんが頭おかしくなっちゃったエピソードくらいしかなくてさびしい。ていうかこの二つのエピソード並べるとヤバイな。
あと母親におんぶされながらニトログリセリン持たされて、戯れに投げたら敵を爆殺しちゃった話…?あれが静也くんの最初の殺人…?
ていうかニトロのお妙エピソードほんとひどい。ついでにその可愛がってた人形全部捨てられた話もひどい。
多分こんなお母さんであるが故にごくごくふつーな感じの秋野さんのことを好きになったんだと思うんだけど、そんな秋野さんも気付けば完全に極妻「ドンの情婦」って単語がめちゃくちゃ似合ってる。
そりゃ静也くんも「出会った頃はあんなに可憐だった秋野さんが…!」ってな気持ちにもなりますよ。とてもじゃないけど静也くんと同い年には見えない。ドンの情婦以外何にも見えない(笑)
今や拳銃の安全装置解除の音聞くだけで射撃の準備完璧な女になってますからね…。これも別れの原因なのが辛いわ…むしろ主因なのが困るわ。
しかし秋野さんも秋野さんで、いくら命の恩人と顔が似てるからって独身バリキャリが20前後の若者の母親代わりになるかな…?龍馬と秋野さん、年もせいぜい一回り違うくらいだよね…?
そういう青年漫画に死ぬほど登場する慈母愛的なところ、静也くんはあんまり良しとしてないのがとても印象的というか、本当は嫌だったんじゃないのか?ぐらい疑ってしまう。
まあ好きな人が異性にこっそり何度も親密にコンタクト取ってたらどんな用でも嫌じゃない?
いやいくら気にかけてあげてくださいとは言ってもそこまでやれとは言うてへんのや、姐さん!ってなる。ていうか静也くんは実際そう訴えてる訳ですし。
でもドンの情婦となりし女社長秋野さんはもう静也くんの好きだった純情可憐な少女じゃない。夢見る少女じゃいられなかった相川七瀬だったことが問題だった…!
相手はいけめんピチピチボーイ、秋野さんのこともまんざらではないって感じで、70巻以降はそんな不安定な三角関係が見ててとても苦しかったです。
静也くんはガラスハートなんだからその辺り汲んで欲しかったぜよ…!うおおおおおー(※断続的発作)

はあはあ。まぁでも、二人は何だかんだで永遠の愛ーラムール・エテルネルーで、なぎの葉っぱな訳ですよ。
そんな二人をね、私はやっぱり最後まで見守れて良かった。望んだ結末ではなかったけど、こうして考察していくうちにささやかながらも希望の光を多少見つけられたので私の浮かばれぬ魂も救われた気がします。
そして静也くんも大好きだった。主役を好きになれる作品は少ないので、彼はとても稀有な存在でした。
いかんせん普段は山南さんとか選んじゃうからね…静ドンだと山南ポジションは誰だろ?やっぱ海腐さんかな。
海腐さんも大好きだったけど龍馬を呼び寄せた最大の罪人なので複雑な思いがあります。返す返すも70巻で終わっておけば…!くっ…
海腐さんの晩節を汚す感じはすごかった。それだけの執念を燃やすぐらい組を大事に思ってたのかもしれないけど、結局静也くんの呪いの言葉で永遠に後悔して終わったのは悲しすぎるわ…。
なんにしても、愛に飢えた野獣と呼ばれる、明るいメンヘラ静也くんは私の無二のドンです。わしゃあ兄貴に惚れました!盃求めたい。そして兄貴を庇って死にたい。
静也くんは今も時々自分の作った近藤静也記念館に行って泊まったりしてるのかな…あの発想なにげにやばいよね…秋野さんルーム、初めて見た時彼の真の心の闇を見た気がしていたたまれなかったわ(笑)
いつか行きたい近藤静也記念館。今は誰が館長してるんだろ。
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